フリーランス美容師ってどう? 年収やメリット・デメリットを徹底解説!

PAIR TIMES

最近、フリーランス美容師が話題です。

この記事では組織に所属せず美容師としての自分の手ひとつで世の中を渡っていくフリーランス美容師という働き方について紹介しています。

「フリーランス美容師ってどんなもの?」とちょっとだけ興味のある方、

「フリーランス美容師になろうか迷っている。」
「今の美容室を辞めたい。」
「育児や介護でフルタイムのサロン勤務が厳しい」

このような方もぜひ見てみてくださいね。

フリーランス美容師とは?

フリーランス美容師とは、正社員やパート・アルバイト、派遣社員などの形態で美容院に雇用されずに、フリーランス(個人事業主)として働く美容師のことを言います。

最近はエンジニアやWEBデザイナーなど、主にIT・WEB系の職種を中心にフリーランスで働く人々が増えて来ています。

その波は美容師業界にも来ているのです。

2017年11月6日付けの日経MJの記事によると、フリーランス美容師は全国で8万人以上にもなっています。

美容師の数は全国で50万人ほどですから、実に全体の16%ほどの美容師がフリーランスという働き方を選んでいるのです。(参考データ:美容業概要|厚生労働省

今後ますますフリーランス美容師は増えてくると見られています。

フリーランス美容師の働き方

フリーランス美容師の働き方は「業務委託」と「面貸し・シェアサロン」の2つに大きく分けられます。

業務委託

サロンと雇用契約を結んで雇われて働く場合の給与形態は、「固定給のみ」か「基本給プラス歩合給」となっているケースが一般的です。

業務委託の場合、雇用契約ではなく業務委託契約を結んで、フリーランス(個人事業主)としてサロンで勤務します。

給与ではなく、自分の売上の40~60%ほどを報酬という形で受け取ります。

たとえば100万円を売り上げれば40万円~60万円ほどもらえるというわけです。

基本的に集客はサロン側でしてくれますし、新規やフリーの入客もあります。

シャンプーや薬剤などの必要経費も基本的にサロン側で負担してくれます。

正社員で働くよりも、勤務時間は少なくなり収入アップも見込めますが、お客様が来なければ収入は減ります。

社会保険はないですし、病気・ケガなどで働けなくなった場合の保障もない等のデメリットもあります。

また、なかには正社員と同様の長時間労働をさせながら、社会保険などの経費を負担しないために業務委託という契約にしている、いわゆる「偽装委託」という違法なやり方をしている美容室も存在します。

事前にしっかりと契約書の内容を確認するようにしましょう。

面貸し・シェアサロン

業務委託よりもさらにフリー感が増すのが「面貸し・シェアサロン」での働き方です。

美容室のセット面を借りる形で自身の顧客に施術を行います。

料金は時間貸しや月極、さらには売上からの歩合など面貸しサロン・シェアサロンによって様々です。

面貸し・シェアサロンについては下記記事も参考にしてください。

同じだけの売上なら業務委託よりも報酬は増えます。

ただし基本的に薬剤の購入費も自腹になるので必要経費が増える点には注意が必要です。

面貸しサロン・シェアサロンは基本的に集客をしないので、自身にすでに顧客がついている美容師でないとやっていくのは難しいでしょう。

すでに顧客がついている人も新規の集客をしないと先細りになるので、InstagramやFacebookなどのSNSツールやminimoやrequpoなどの予約アプリなどを活用して、自身で集客にも力を入れる必要があります。

フリーランス美容師の年収はどれくらい?

フリーランス美容師の収入は人それぞれとしか言えないですが、簡単にですが、今のサロンでどれくらいの指名客の売上があるかから試算することもできます。

いまのサロンを辞めて約6割のお客様がついてきてくれたと仮定して、月平均80万円の売上があった場合、

80万円 × 0.6 = 48万円

月商は48万円となります。

これがそのまま収入になるのではなく、ここから経費を引かないといけません。

経費はシェアサロンの利用料金や薬剤費などです。

薬剤にどれだけこだわるかや、地域によっても経費は変わってきますが、フリーランス美容師の利益率はだいたい70%と言われています。

48万円 × 0.7 = 33.6万円

月収は33.6万円、年収でいうと403.2万円となります。

こんな感じで、いまのサロンでの売上とついてきてくれそうなお客様の割合などから試算してみると、フリーになってもやっていけそうかどうか分かるかもしれません。

ちなみに都内で活動しているトップクラスのフリーランス美容師で月の売上は100~150万円程度ですので、経費を引くと、月収70~105万円程度(年収840~1260万円)でしょうか。

夢のある数字ですが、さすがにここまでいくのは一握り。

フリーランス美容師として活動している美容師さんの多くは月売上60~80万円くらい、月収でいうと40~60万円くらいの方が多いようです。

フリーランス美容師のメリット・デメリット

フリーランス美容師にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

良い面・悪い面の両方をしっかり把握しておきましょう。

メリット1:働いただけ収入が増える

フリーランスの場合、毎月決まった給料を受け取るわけではありませんので、働けば働くほど収入は増えます。

もちろんお客様の施術をしてナンボなので、収入は青天井というわけにはいきませんが、月に100万~150万円ほど稼いでいるフリーランス美容師もいます。

美容師は長時間労働の割に年収が低い職業です。

厚生労働省が発表している統計によると、2019年度の美容師の平均年収は311万4,000円です。(月収でいうと25万9500円)

参考)賃金構造基本統計調査職種DB第1表 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

もちろんこれは全体の平均値ですので、勤務しているサロンや地域、年齢等などによっても年収は変わってきます。

とはいえ雇われているままでは収入に限界があります。

「こんなに働いているのに、これだけしかもらえないのか…。」と不満を抱えている美容師も多いことでしょう。

サロンを飛び出してフリーになれば、月収100万円も狙えるのがフリーランス美容師なのです。

メリット2:自由な働き方が手に入る

フリーになればサロン勤務のように朝は何時から夜は何時までといった拘束時間はありません。

朝が苦手な方は昼から働いてもいいですし、深夜のみに絞っても地域によっては需要が大きいかもしれません。

1日何時間働くかも自由です。

月収100万円を目指して毎日ガッツリ働いてもいいですし、介護や育児などで忙かったり、趣味や自己投資に時間を使いたいというときは、1日3~4時間だけ、予約の入ったときだけ働くといった働き方もできます。

サロン勤務の場合は月曜日が定休で、土日祝は絶対に休めないケースが多いでしょうが、フリーランスなら逆に月曜日は働いて土日祝は休むなんてこともできます。

お客様の都合との兼ね合いがあるので、完全に自分次第というわけにはいかないかもしれませんが、サロン勤務に比べると圧倒的に自由度が違います。

ただし業務委託サロンで働く場合はサロンの営業時間に合わせる必要があります。

メリット3:一人ひとりのお客様と深く関われる

サロンの場合、受付のスタッフやアシスタントがいるので、一人のお客様に複数のスタッフが関わることになります。

フリーランス美容師の場合、自分ひとりだけなので完全なマンツーマンスタイルで接客ができます。

マンツーマンだとお客様との信頼感を築きやすいです。

またサロン勤務の場合、回転重視や売上重視など様々なサロンの方針があり、一人ひとりのお客様にじっくり時間をかけられないケースもあります。

フリーランス美容師の場合、ひとりのお客様にどれくらい時間をかけるかは自分の裁量次第なので、大切なお客様にじっくりと向き合うことができます。

メリット4:職場の人間関係の煩わしさがない

美容師としての仕事は好きだけど、今のサロンの人間関係が嫌で美容師を辞めたいと思っている方も多いかもしれません。

フリーランスの場合、そのような煩わしい職場の人間関係に悩まされることはありません。

デメリット1:収入が不安定

フリーになれば雇われているよりも収入が大きくアップする可能性もある半面、固定給やいざというときの保障がないので、病気やケガなどで働けなくなると収入がゼロになってしまうというリスクもあります。

特に面貸しやシェアサロンの場合、完全歩合になるので、お客様が来なければ収入がゼロになってしまいます。

業務委託サロンの場合は、新規客・フリー客の入客もあるので、指名客が来なくてもある程度の収入は確保できますが、収入が不安定になってしまう面は否めません。

収入とリスクの兼ね合いを比較してみると、以下の表のような感じでしょうか。

収入リスク
正社員少ない少ない
業務委託中程度中程度
面貸し・シェアサロン大きい大きい

デメリット2:記帳や確定申告を自力でしないといけない

フリーランス(個人事業主)になると、雇われていたときのように会社が税金の計算をして天引きなどはしてくれません。

売上と経費を自力で計算して、毎年3月に確定申告をしないといけません。

慣れてしまえばそれほど難しいものではありませんが、毎月コツコツと帳簿を付けて、レシートや領収書の整理などをしておかないと、2月くらいに大慌てする羽目になります。

個人の場合、法人と違ってそれほど節税対策に幅はありませんが、それなりに節税の知識も身につけておかないと無駄な税金を支払ってしまうことにもなります。

どうしても苦手な方は税理士に頼むという手もありますが、顧問料など費用が発生します。

デメリット3:先輩に教わったり、後輩に教えたりといった教育環境がない

サロン勤務の場合は、営業終了後に残ってレッスンなどをしますよね。

先輩に教わるだけなく、後輩に教えることでも自分のスキルアップに繋がります。

フリーランスの場合、基本的に一人なのでそのような教育環境がありません。

自分で積極的に講習やワークショップに参加したり、同じようなフリーランスの仲間を作ってレッスンをしたりと、自力でスキルアップの機会を作って行かねばなりません。

デメリット4:仕事とプライベートの境目が曖昧になる

フリーランスの場合、お客様とのやり取りや予約の管理などはすべて自分でやらねばなりません。

たとえお休みの日であってもお客様から連絡が来ればやり取りが発生します。

もちろんおやすみの日は電話には出ない、LINEには返信しないというルールを決めて、お客様にもそうお伝えしておくという方もいるかもしれませんが、なかなかそうはっきりとオンとオフを切り替えられる人は少数派でしょう。

オンとオフの境界線が曖昧になるのがフリーランスという働き方です。

フリーランス美容師になるには?

フリーランス美容師としてやっていくにはある程度の経験や技術は必要になりますし、そもそも顧客を持っていないとやっていけないです。

ですので、美容専門学校を出たばかり、美容師免許に合格したばかりの方、アシスタントの経験しかない方がいきなりフリーランスでやっていくというのはあまり現実的ではありません。

最低でも2~3年はサロンに勤務してスタイリストとしてのキャリアを積み、フリーになってもお客様が自分についてきてくれるという状態になってから独立してフリーになるというルートが一般的です。

新規やフリーの入客もある業務委託サロンで経験を積み、ある程度の指名客を取れるようになってからフリーランスになるという方法でも良いでしょう。

フリーランス美容師になる流れ
  • STEP1
    予約方法や場所など必要なモノを準備する

    フリーなってからすぐに動けるように必要なモノは在職中から準備していきましょう。
    フリーランス美容師に必要なモノはこちらで紹介しています。

  • STEP2
    今のサロンにフリーになることを伝える

    同じ商圏で仕事をするわけですし、指名客も連れていくことになるので、なんとか円満に退社できるよう頑張りましょう。

  • STEP3
    お客様にフリーになることを伝える

    お客様にもフリーになることを伝えて、今後の予約方法や場所についてもお伝えしておきましょう。

  • STEP4
    退社&役所関係の手続き

    退職したあとは、社会保険から国民健康保険&国民年金への切り替え手続き、税務署へ開業届など役所関係の手続きをしてしまいましょう。

  • STEP5
    営業開始!

    お客様の予約を受け付けて営業開始しましょう。
    InstagramやYoutubeなどの運営も開始して、新規集客についても取り組んでいきましょう。

美容室を開業する場合は、保健所へ美容所登録という手続きが必要です。
しかし、フリーランス美容師として、面貸しサロンやシェアサロンで施術を行う場合、基本的に面貸しサロンやシェアサロンが美容所登録をしているはずですので、美容師個人で美容所登録をする必要はありません。

フリーランス美容師に必要なもの

フリーランス美容師になるにあたって最低限必要になるものを解説します。

技術力&接客力

最低限、お客様の要望を形にする技術力は必要です。

さらにお客様自身も気づいていないような魅力を引き出す提案をできればなお良いですね。

またいくら技術力があっても相性が悪いとお客様も離れていってしまうでしょう。

お客様が気楽にくつろげるようなおもてなしができる接客力も身につけたいです。

集客力

いくらおいしいラーメンを出す店でも集客力がなければ潰れてしまいます。

美容師も同じです。

いくら素晴らしい技術力や接客力があったとしても集客できなければやっていけません。

幸い今の時代はインターネットを活用したネット集客を個人でもやりやすい時代です。

美容師に必須のInstagramをはじめ、YouTubeFacebookPinterestやブログなど各種ネットツールや、minimorequpoなどの予約アプリなどを活用して、新規集客にも力を入れていきましょう。

施術場所

フリーランス美容師の施術場所としては、自宅、出張や訪問、業務委託サロン、面貸しサロン・シェアサロンなどがあります。

自宅サロンはたまに家族や友人知人のカットをしてあげるという程度なら問題ないでしょうが、業として行うには美容所登録が必要となり、自宅サロンを美容所登録するハードルは高いです。

出張や訪問というのは、結婚式や演劇など特別なイベント時に会場に出張して施術したり、病気や育児などで家を出られない等、特別な事情を持っている方のために自宅や施設を訪問するケースです。

業務委託サロンはフリーランスとはいえ、あくまでサロンの一員として働くことです。

以上のことから、フリーランス美容師の施術場所としては面貸しサロンやシェアサロンを利用するのが一般的です。

面貸しサロンやシェアサロンはそれぞれ料金や設備、ルールなど異なりますので、あなたが活動したいエリアにあるサロンに色々と見学に行って自分に一番合ったサロンを選びましょう。

フリーランス美容師は場所を選ばないというメリットもあるので、インターネットで集客ができれば全国を飛び回って各地のシェアサロンで施術するなんて働き方もできます。

予約ツール&顧客管理ツール

フリーランス美容師だとレセプション専門のスタッフなどはいませんので、お客様の予約受付も自身で行う必要があります。

電話だと施術中などで対応できないケースも多いので、LINEやメールなど施術後に確認して返信できるようなツールを利用するといいでしょう。

多くのフリーランス美容師はLINEを活用しています。

LINEだと文字だけでなく写真も送れるので、事前にどんな感じにしたいかイメージにあった写真を送ってもらったり、LINEのアルバム機能を利用して施術後の仕上がり写真も送ってあげることで、お客様だけのオリジナルヘアカタログが出来上がり、次回来店時の参考にしてもらえます。

LINEは複数アカウントを持てないので、プライベートのLINEと仕事のLINEを分けたいという場合は、「LINE公式アカウント」を利用するといいでしょう。

LINE公式アカウントは企業やお店などが使うLINEですが、個人でも無料で使えます。

複数のお客様に一斉にメッセージを送信したりと、普通のLINEにはない活用の仕方ができるので便利です。

さらに、もう一歩進んだ予約管理や顧客管理を行いたいなら美容師専門の顧客管理アプリ「LiIME(ライム)」が便利です。

LiIME(ライム)を使えば、顧客管理、カルテ機能、予約受付&予約カレンダー、LINEとの連携、レジ会計機能などフリーランス美容師に必要な様々な機能をアプリひとつで行えます。

まとめ

フリーランス美容師は今後ますます増えてくるでしょう。

従来の美容師のキャリアパスといえば、アシスタントを経て、スタイリストとしての経験をおよそ10年積んだ後、店長やマネージャーなど管理職になる人、スタイリストとして現場で働き続ける人、独立開業して自分の店を構える人などに分かれていました。

それら従来の道に加えてフリーランス美容師という働き方も考えてみてはいかがでしょうか?

フリーランス美容師であれば10年と言わずスタイリストとしての経験を2~3年積んで独立するという道も選べます。

フリーランス美容師として経験を積み、お金を貯めて自分の店を出すという手もあるでしょう。

美容師の働き方は人それぞれです。

自分に一番合った働き方は何なのか、いま一度考えてみてはいかがでしょうか?